相模の屋根・丹沢山塊
丹沢山塊(10)・西丹沢の主峰

丹沢の主峰・蛭が岳(1673m)は
丹沢山地では最も奥深いところにある山であるが、
頂上付近はブナなどの樹林も少なく、
山塊一の標高を誇るだけあって見通しも良い。
天気が良ければ頂上から富士山や南アルプス、
八ヶ岳、奥秩父などの山々を一望することができる。


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丹沢山塊(10) 「丹沢の主峰





写真:丹沢山塊の主峰・「蛭ヶ岳」(1673m)と山頂(下)



蛭ヶ岳山荘



丹沢の主峰・蛭が岳・・、
山塊中央に聳える主峰は標高1673mで、神奈川県の最高峰でもある。


かつては山岳修行の山で、蛭ヶ岳の山頂には薬師如来や毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)など多くの仏像が祀られていたという。 

これから別名の薬師岳や毘盧ヶ岳と呼ばれるようになり、毘盧ヶ岳が転じて蛭ヶ岳になったと言われている。


又、この他にも「この山に蛭(ヤマビル)が多いから」と言う理由でつけられたという尤もらしい言い回しもあるが、有難くない名前であり、尚、この山域には高所でありジメジメした湿性の箇所は存在せず、山蛭などは生息しないであろうと思われるが・・?。 


蛭が岳は丹沢山地では最も奥深いところにある山であるが、頂上付近はブナなどの樹林も少なく、山塊一の標高を誇るだけあって見通しも良い。

天気が良ければ頂上から富士山や南アルプス、八ヶ岳、奥秩父などの山々を一望することができる。 


最も一般的なコースといして、南北に縦断する「丹沢主脈」ルートで、ヤビツ峠や大倉から登って塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳そして、ヒメツギ、焼山を越えて道志の青野原、西野々へ到る。
頂上・蛭ヶ岳まで最低5〜6時間はかかり、麓までは4時間以上かかる。

1日コースとしては超健脚者向きであろう。

尚、蛭ヶ岳より西へ向かって進み、桧洞丸、大室山などを経て西丹・箒沢へ下るのを「丹沢主稜」コースといって、主脈より尚一層ハードなルーととなっている。



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蛭ヶ岳を含め西丹沢は他の山域と比して、各峰の頂上は樹林に覆われ、踏み後も鮮明でなく、特に天候不順なときなど迷いやすい。
山腹は深い笹が茂り、沢筋は深く、落差のある滝が連続する。
地図上で実線で欠かれていても、登山道は鮮明でないところもあり、所要時間も記入されている以上に掛かることもしばしばである。

蛭ケ岳西稜にある蛭ケ岳〜御影沢ノ頭〜臼ケ岳〜金山谷乗越〜檜洞丸は、登り下りの道程が激しく、ハードなところである。
叉、この間の西沢源頭は、崩壊が進んでヤセ尾根となっており、鎖場も連続する難所で、特に下りでは浮石や砂利を踏んで、転倒する登山者が多いといえよう。
秋の時期は、日没の時間も早くなり、日没後の道迷いにならないよう行動計画が必要であろう。



一般に丹沢は2000mもない低山の地域ながら、遭難事故は決して少なくない。

特に西丹沢は目的の山が奥まったところにあり、遭難件数も多く、年に数件の死亡事故も発生しているようだ。西丹沢の山岳救助活動をしている県警松田署が平成18 年の山岳事故の情報の纏めだと、遭難件数は16 件あったが、幸いにも死亡事故は無かったようだ。

遭難原因として道迷いが9 件で過半数を占め、地域としては檜洞丸周辺(犬越路を含む) に6 件も発生している。 


もしも、山道を外して迷い込んだ場合、高みの縦走路を目指すと猛烈な薮こぎが待っており、降ろうとすると峻険な沢筋が待っている。
いずれにしても余計に数時間の格闘が強いられ、即、遭難ということも考えられるのである。

西丹沢では、一般的な山域での常識が、逆に災いの元になることがあるのである。



尚、裏丹沢(道志方面)の登山口も数ヶ所あるが、何れも下山に利用されているようであり、小生も丹沢へは数十回入っているが、こちら側からの登行は1度もなかった。


いずれにしても丹沢山塊は概して高岳連山ではないが、1000m以上のピーク峰が60座以上もあることから、峻険の山塊といえるのである。


丹沢山塊の主な山名の標高順位

高度順位 山 名 標高(m) エリア
1 位 蛭ヶ岳 1673 丹沢主稜
2 位 不動ノ峰 1614 丹沢主脈
3 位 鬼ヶ岩ノ頭 1608 丹沢主稜
4 位 檜洞丸 1600 西丹沢
5 位 棚沢ノ頭 1590 丹沢主稜
6 位 大室山 1588 西丹沢
7 位 丹沢山 1567 丹沢主脈
8 位 熊笹の峰 1523 西丹沢
9 位 竜ヶ馬場 1504 丹沢主脈
10 位 同角ノ頭 1491 西丹沢
11 位 テシロノ頭 1491 西丹沢
12 位 塔ノ岳 1491 丹沢主脈
その他 鍋割山 1273 丹沢主脈
大山 1252 東丹沢
※ エリアは小生が勝手に決めたもので、
地理的に正式名称ではありません。
「主脈」は表尾根から丹沢山
「主稜」は丹沢山から檜洞丸
「西丹沢」は中川川ルート




次回は、「丹沢の渓谷」     丹沢山塊(11)、丹沢の谷筋


        
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